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Apple Music で歌詞を一文字ずつ光らせるには:同時進行の歌詞を納品するためのガイド

Apple Music で歌に合わせて一文字ずつ光る歌詞(Apple の呼び方は beat-by-beat)は、楽曲と一緒に納品される TTML 形式の歌詞ファイルから表示されます。ファイルには一文字(または数文字)ごとに開始・終了時刻が入っています。Apple Music for Artists から登録できるのはテキスト歌詞だけなので、一文字ずつ表示させたい場合は TTML を納品できるディストリビューター経由で届ける必要があり、表示するかどうかは最終的に Apple が判断します。

Apple Music で曲を聴いていると、歌声に合わせて一文字ずつ光る歌詞、行ごとに切り替わる歌詞、まったく動かない歌詞があります。この違いは、Apple に納品された歌詞ファイルにタイミングが入っているか、入っているならどこまで細かいかで決まります。

この記事は、自分の曲の歌詞を Apple Music で一文字ずつ表示させたいアーティストと、配信を担当するレーベル・ディストリビューターの方に向けたものです。3 種類の歌詞の違い、一文字ずつの歌詞を Apple に届けられるのは誰か、守るべきルール、そして手元の歌詞からタイミングを作る方法を順に説明します。

3 種類の歌詞、違いは「タイミング」

言えなかった言葉を / 夜風にたたんで / 窓のそばで待ってる / 君が通るその時まで

上のボタンで 3 つの表示を切り替えられます。サンプルの歌詞はオリジナルです。
種類Apple での呼び方リスナーに見えるもの歌詞ファイルの中身
同期なしstatic lyrics動かない歌詞の全文テキストだけ
行同期line-by-line歌っている行がハイライトされる行ごとの開始・終了時刻
一文字ずつbeat-by-beat行の中の文字が歌声に合わせて順に光る一文字(または数文字)ごとの開始・終了時刻

いわゆる「同時進行」の歌詞のうち、一文字ずつ光るものは Apple Music Sing の「リアルタイム歌詞」にあたります。Apple はコンテンツ提供者向けに、beat-by-beat 表示の対象として検討されるには最新の TTML 形式で歌詞を納品するよう案内しています(Apple Music Sing の納品について)。

一文字ずつの歌詞は TTML ファイル

TTML はタイミング付きのテキスト形式で、見た目は Web ページのコードに似ています。Apple に納品する歌詞ファイルは、1 行分だけ抜き出すとこんな形です。

<tt xmlns="http://www.w3.org/ns/ttml" xml:lang="ja">
  <body>
    <div>
      <p begin="0:12.400" end="0:15.100">
        <span begin="0:12.400" end="0:12.650">言</span>
        <span begin="0:12.650" end="0:12.900">え</span>
        <span begin="0:12.900" end="0:13.150">な</span>
        <!-- 残りの文字も同様 -->
      </p>
    </div>
  </body>
</tt>
  • 曲のまとまり(A メロ、サビなど)ごとに <div>、1 行ごとに <p> を使います。<p> にだけ時刻を書けば行同期です。
  • <p> の中の文字を <span> で囲んで時刻を付けると一文字ずつになります。<span> は一文字でも、数文字のまとまりでも構いません。
  • 曲全体を一文字ずつとして扱うには、すべての行にタイミング付きの <span> が必要です。1 行でも欠けていれば、行同期として納品することになります。

細かい仕様は Apple の『Video and Audio Asset Guide』の TTML の章が基準です。

一文字ずつの歌詞を Apple に届けられるのは誰か

ルート届けられるもの
Apple Music for Artistsテキスト歌詞の貼り付けのみ(Apple の説明)
TuneCore Japan「テキスト(同期なし)」か「行同期」の 2 種類(TuneCore Japan ヘルプ)
TTML ファイルを納品できるディストリビューター行同期または一文字ずつの TTML を、Transporter や iTunes Connect 経由で Apple に納品(Apple:歌詞の提出)

TuneCore Japan のヘルプでは、Apple Music 向けの行同期に「Singが有効」と書かれています。ただし、行同期の歌詞が一文字ずつの表示になるとは書かれていません。つまり、管理画面で歌詞を入力したり、再生しながら行ごとにタイミングを合わせたりする方法では、できるのは行同期までです。

歌詞を扱えるディストリビューターを探すなら、まず Apple 公式の Apple Music Partner Directory を見てください。Apple が認めた優先ディストリビューターが載っていて、地域(アジア太平洋など)で絞り込めます。各社が歌詞(Lyrics)に対応しているかも表示されています。ただしこの欄では、テキスト・行同期・一文字ずつの区別はありません。候補が決まったら、次の 2 点を確認しましょう。一文字ずつの歌詞を TTML で納品できるか。自分で作った TTML ファイルを渡せるか。

納品しても表示されるとは限らない

Apple の歌詞ガイドラインははっきり書いています。同期歌詞を有効にするかどうかは Apple の編集判断による、と(Apple 歌詞ガイドライン)。一文字ずつの TTML を納品するのは検討の対象になるための前提で、表示の保証ではありません。

私がテキスト歌詞で納品してきた経験では、そうした曲のほとんどは Apple Music で動かない歌詞のままでした。Apple が一文字ずつのタイミングを付け足してくれることはありません。一文字ずつ光らせたいなら、自分でタイミングを作って納品する必要があります。

もう一つ大事なことがあります。ずれた一文字ずつ表示は、ないよりも悪いということです。歌声より半拍早く、あるいは遅く光るだけで、聴き手はすぐに違和感を覚えます。しかも Apple が確認済みの歌詞は、再納品しても更新されません(Apple:歌詞の提出)。最初の納品の前に、聴きながら見て確かめてください。

納品前のチェックリスト

  • 納品する音源そのものに合わせる。 リミックス、インスト、ロングバージョンはそれぞれ別に作ります。
  • リリース日の 5 日前までに納品する。 リリース当日から歌詞が表示されます。
  • 繰り返しはすべて書き出す。 「×2」や「サビ繰り返し」とは書きません。
  • 行末に句点・読点を付けない。 疑問符と感嘆符は使えます。
  • コーラスは括弧に入れる。 TTML では ttm:role="x-bg" でバックボーカルとして指定します。
  • 同じ歌い手のタイミングを重ねない。 前の行が終わる前に次の行が始まると、Apple の形式に合いません。

最初の 5 項目は Apple 歌詞ガイドライン と 歌詞の提出 に基づいています。

作り方:まず行、それから文字

一文字ずつ手作業でタイミングを打つのは大変です。3 つの段階に分けると、ずっと楽になります。

  1. まず各行の位置を合わせる。 納品用の音源と手元の歌詞をアライメントツールに渡すと、各行のタイミングが自動で付きます。あとは何か所か確認するだけです。
  2. 一文字ずつの表示を見ながら、気になるところを直す。 聴きながら文字が光るリズムを確かめ、ずれている文字の境目をドラッグして調整します。
  3. 一文字ずつの TTML を書き出して、ディストリビューターに渡します。

LyricSmith はこの流れに沿って作られています。音源をアップロードするときに歌詞を貼り付ければ、AI はタイミングだけを付け、歌詞は一文字も書き換えません。同期が終わったら「1文字ずつ」に切り替えて、Apple Music のように文字が光る様子を聴きながら確認できます。最後に書き出しメニューで「TTML 1文字ずつ」を選びます。同期のあとで文字を修正した行は一文字ずつのタイミングを推定し直すことになるので、エディターに印が付き、確認を促します。行同期だけでよければ「TTML 1行ずつ」を選んでください。無料・登録不要です。

曲をアップロードして試す →

AI のアライメントも完璧ではありません。長いイントロ、歌詞のないハミング、何度も繰り返すサビでは、1〜2 行がまとめてずれることがあります。どのツールを使う場合でも、納品前に一度通して聴いてください。

よくある質問

Apple Music for Artists から一文字ずつの歌詞を登録できますか?

できません。Apple Music for Artists の「歌詞を追加」はテキストを貼り付けるだけです。タイミング付きの歌詞(行単位でも一文字単位でも)は TTML 形式で、ディストリビューターが Transporter または iTunes Connect から納品します。

タイミング付きの歌詞はいつまでに納品すればいいですか?

リリース日に歌詞を表示させたい場合、Apple はリリース日の 5 日前までの納品を求めています。タイミングは Apple に納品する音源そのものに合わせる必要があり、同じ曲でもバージョンごとに別々に作ります。

一文字ずつの TTML を納品すれば、必ず一文字ずつ表示されますか?

いいえ。Apple の歌詞ガイドラインには、同期歌詞を有効にするかどうかは Apple の編集判断によると書かれています。TTML の納品は検討の対象になるための前提で、表示の保証ではありません。

公開後にタイミングのずれに気づいたら直せますか?

Apple が確認済みの歌詞は、再納品しても更新されません。ディストリビューターから iTunes Connect の問い合わせフォームで修正を依頼する必要があります。最初の納品前にしっかり確認しておくのがいちばんです。

必ず一文字ずつ区切る必要がありますか?

その必要はありません。Apple の形式では、タイミングを付ける単位は一文字でも数文字のまとまりでも構いません。まとめたほうが作業は楽ですが、まとまりの中で歌のリズムが揺れると、光るスピードと歌声がずれて見えます。